プロ野球中継で「この試合は警告試合となりました」と聞き、次の死球で必ず退場になるのか、試合が中止になるのか疑問に思った人も多いでしょう。
結論からいうと、警告試合は報復や乱闘の連鎖を防ぐため、審判団が両チームに強く注意を促した状態です。宣告されても試合は続き、以後の死球がすべて自動的に退場になるわけではありません。審判員が故意性や悪質性を認めた投球では、投手だけでなく監督も退場となる可能性があります。
2026年9月2日の中日―広島戦をきっかけに注目された「警告試合」について、宣告される場面、退場の条件、危険球との違い、観戦時に確認したいポイントを初心者向けに整理します。
警告試合とは?まず押さえたい3つの要点
警告試合は、死球や危険な投球、選手同士の対立などから報復行為が起きるおそれがあると審判団が判断したときに宣告されます。正式な試合の種類というより、試合を安全に続けるための特別な警告と考えると分かりやすいでしょう。
- 宣告後も試合は通常どおり続く
- 両チームが対象で、報復と受け取られる行為を厳しく見る
- 次の死球が無条件で退場になる制度ではない
「警告試合」という呼び方は公認野球規則の本文ではなく、NPBのリーグ内規・アグリーメントに基づくものと解説されています。一方、公認野球規則6.02(c)(9)では、投手が打者を狙って投球すること自体が禁じられています。警告試合は、その原則をトラブルが起きそうな状況でより厳格に運用する仕組みです。
2026年9月2日の中日―広島戦で何が起きた?
中日側に4つ目の死球、両軍が緊張する展開に
9月2日にバンテリンドームで行われた中日―広島戦では、中日が5対4で勝利しました。注目を集めたのは7回裏です。2死二、三塁の場面で、広島の石井大智投手が投じた153キロの球が中日のターノック選手の背中付近に当たりました。
報道によると、この死球は中日がこの試合で受けた4つ目でした。両軍ベンチが緊張した空気となり、中日の井上一樹監督と広島の新井貴浩監督らが言葉を交わした後、真鍋球審が警告試合を宣告しました。
宣告は「どちらが悪いか」を確定する判定ではない
ここで大切なのは、警告試合の宣告だけで、直前の投球が故意だったと認定されたわけではない点です。審判団は、その時点までの死球の数、投球の場所、両軍の反応、試合展開などを総合し、これ以上感情的な応酬に発展させないために警告します。
したがって、宣告を「広島の故意が認定された」「中日の抗議が認められた」と単純化するのは正確ではありません。公式記録上も試合は5対4で成立し、警告試合になったことによって得点や勝敗が変わることはありません。
警告試合はどんなときに宣告される?
死球が続き、報復の可能性が高まったとき
代表的なのは、一方のチームへの死球が続いた後、相手側への報復投球が懸念される場面です。ただし「死球が何個なら警告」という一律の数字はありません。1つの死球でも、投球位置や直前のプレー、選手の反応から乱闘につながる危険が高いと判断されれば、宣告される可能性があります。
乱闘寸前の接触や挑発的な行動があったとき
打者が投手へ詰め寄る、両軍の選手がベンチから出る、危険なスライディングなどを巡って対立が起きると、審判団は試合を落ち着かせる必要があります。実際に殴り合いになってから使う制度ではなく、重大なトラブルを未然に防ぐ意味があります。
試合開始前に宣告される場合もある
警告試合は試合中だけとは限りません。前日の試合で因縁が生まれ、翌日も報復が予想されるなど、審判団が必要と判断すれば試合前から両チームへ警告できます。つまり、一つのプレーだけを見るのではなく、カード全体の経緯も判断材料になります。
警告後の死球は即退場?よくある誤解
普通の死球まで自動退場にはならない
警告試合の宣告後にボールが打者へ当たっても、それだけで投手が必ず退場するわけではありません。すっぽ抜けた変化球、打者が避け切れなかった内角球など、野球では故意ではない死球も起こります。審判員が報復目的や悪質な投球と判断するかどうかが重要です。
逆に、実際に打者へ当たらなくても、明らかに狙ったと判断される投球なら警告や退場の対象になり得ます。「当たったか」だけでなく、球種、コース、直前の経緯、捕手の構えなども含めて審判団が判断します。
故意と判断されると投手と監督が退場する可能性
宣告後に意図的とみられる投球があった場合、投手の退場に加えて監督も退場となる可能性があります。監督にもチームを統制する責任を負わせ、ベンチからの指示を含む報復を抑止するためです。
ただし、退場と後日の処分は別の手続きです。試合中の退場だけで終わる場合もあれば、リーグが映像や報告書を確認し、制裁金や厳重注意、出場停止などを発表する場合もあります。退場した瞬間に後日の処分内容まで決まるわけではありません。
警告試合と危険球は何が違う?
混同されやすい「危険球」は、主に打者の頭部付近への投球について、審判員が生命や選手生命に影響する危険な球と判断した際に投手を退場させるNPB独自の運用です。頭部に当たった球がすべて機械的に危険球になるわけではなく、緩い変化球などでは危険球退場にならない例もあります。
| 比較 | 警告試合 | 危険球 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 報復・乱闘の連鎖を防ぐ | 頭部付近への極めて危険な投球に対処する |
| 対象 | 原則として両チーム | 危険球と判断された投球をした投手 |
| 退場 | 宣告しただけでは退場者なし。以後の故意・悪質な投球で退場の可能性 | 危険球と判断された時点で投手が退場 |
| 試合 | 続行する | 投手交代後に続行する |
警告試合の最中でも、頭部付近への投球が危険球と判断されることはあります。その場合は二つの考え方が同時に関係しますが、退場の直接の理由が「故意と判断された投球」なのか「危険球」なのかは、球審の場内説明や公式記録で確認するのが確実です。
没収試合や試合中止とも違う
言葉の強さから「警告試合になると打ち切られる」と思われがちですが、警告試合は中止命令ではありません。天候やグラウンド状態による中止・コールドゲームとも、チームが試合続行を拒むなど重大な規則違反で勝敗を決める没収試合とも別です。
警告後も投球、打撃、走塁は通常どおり行われます。必要に応じて審判団が選手や監督へ説明し、ベンチを落ち着かせたうえで再開します。観客も、宣告そのものを「乱闘開始の合図」のように捉えず、安全な試合進行のための予防措置として見ることが大切です。
観戦中に警告試合が宣告されたら確認するポイント
- 直前だけでなく、それまでの死球や接触を振り返る:宣告の背景は一球だけとは限りません。
- 球審の場内説明を聞く:警告試合の宣告か、危険球による退場か、故意投球による退場かを区別できます。
- 公式記録と球団・NPB発表を確認する:SNSの切り抜きだけでは、前後関係や審判の説明が抜けることがあります。
- 故意と断定しない:投手の内心は映像だけで確定できません。審判団やリーグの判断が出る前の個人攻撃は避けましょう。
特に短い動画では、直前までに何個の死球があったか、両軍がどのようなやり取りをしたかが見えません。試合経過を確認すると、なぜ審判団が警告を必要としたのか理解しやすくなります。
よくある質問
警告試合になると次戦にも自動で引き継がれる?
自動的に同じカードの全試合が警告試合になるわけではありません。ただし、対立が翌日まで続くおそれがあれば、審判団が試合前に改めて警告することがあります。
警告試合の宣告はリクエストで覆せる?
リクエスト制度はアウト・セーフなど対象となる判定を映像で確認する仕組みです。試合管理上の警告そのものを、監督がリクエストで取り消す制度ではありません。
死球を受けた打者にペナルティはある?
通常の死球なら打者には一塁が与えられます。ただし、投手へ詰め寄る、暴力行為をするなど別の違反があれば、警告試合かどうかにかかわらず退場や後日の処分対象になり得ます。
まとめ:警告試合は報復を防ぎ、安全に続けるための宣告
プロ野球の警告試合は、死球や対立から報復・乱闘が起きるのを防ぐための措置です。宣告されても試合は続き、次の死球が無条件で即退場になるわけではありません。故意性や悪質性は審判員が状況全体から判断し、必要なら投手や監督を退場させます。
危険球は主に頭部付近への極めて危険な投球を対象とする別の運用です。中継で宣告を聞いたら、場内説明、試合の前後関係、NPBや球団の公式発表を確認すると、憶測に流されず正しく理解できます。
※本記事は2026年9月4日時点のNPB公式情報、試合結果、報道および野球規則の解説を基に作成しています。

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